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1/31 法定調書及び法定調書合計表を税務署に提出

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法定調書と法定調書合計表

今回は、法定調書について取り上げます。法定調書は翌年の1月31日までに税務署に提出するものです。本稿では法定調書についてとその目的を簡潔に説明していきたいと思います。なお法定調書の種類は数多くありますが、一般的なものに絞って解説します。

法定調書って何? その目的は?

給与や不動産の使用料などの支払をした人は、一定の期限までにその支払の明細を記載した書類を所轄の税務署等に提出しなければなりませんが、この提出すべき書類のことを「法定調書」または「支払調書」といいます(以下「法定調書」とします)。なお、この「法定調書」の提出期限は原則として翌年の1月31日までです。(1月31日が土曜や日曜、祝日である場合は休日明けの日が提出期限)
例えば令和5年分の法定調書は令和6年1月31日が提出期限になります。

さて、この法定調書の目的は、確定申告等で個人の提出する金額等の裏付けをとる資料を税務署等が収集することにあります。例えばY氏はX社から、令和年中に家賃を収受しているとします。Y氏は令和6年3月15日までに確定申告で受取家賃480万円を申告することになりますが、税務署は支払者であるX社からも同額の法定調書の提出を受けることによって、その金額の確実性を担保できることになります。

図1

提出すべき法定調書等とその具体的な手続き

提出すべき書類は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(資料1)」及び各種「法定調書等」です。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(以下「合計表」とします)」は各種「法定調書等」の金額を合計したものを記載します。
上部の提出者欄は、会社(支払者)の名称、所在地等を記載します。税理士が作成した場合は「作成税理士の署名」が必要になります(以下資料1参照)。

1給与所得の源泉徴収票合計表

年間に支払った人員、及び給与等の金額、源泉徴収した所得税額の合計を記載します。合計表には一定の要件をみたした者の源泉徴収票を添付しなければなりません。なお、この項目の資料は会社の年末調整の資料及び給与関連の資料から作成されます。

2退職所得の源泉徴収票合計表

令和5年中に役員等であった者に対して退職金等の支払があった場合に記載します。一定の場合には合計表に「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を添付します。

3報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表

令和5年中に支払った報酬等について各金額を記載します。各細目を見ていただくとわかるように1号から8号の種類に分かれています。各号一定の要件に該当する支払いについては、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を合計表に添付して提出します。

4不動産の使用料等の支払調書合計表

令和5年中に支払った不動産の使用料等につき各金額を記載します。一般的には、支払家賃や地代等が該当します。実務では、総勘定元帳の「地代家賃」勘定または「賃借料」勘定を集計して作成します。一定の項目に該当する場合は、「不動産の使用料等の支払調書」を合計表に添付して提出します。

5不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表

令和5年中に不動産等を購入した場合のその支払金額を記載することになります。また、同一人に対する令和4年中の支払額の合計が100万円を超える場合には、その「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を合計表に添付して提出しなければなりません。この金額は大きくなりやすく、念のため当該不動産等の売買契約書等で内容を確認する必要があります。

6不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表

令和5年中に不動産等を売買や貸付、借受をした場合、仲介業者に仲介手数料を支払ったような場合に記載します。また、同一人に対して15万円を超える金額を支払ったような場合には、その「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」を合計表に添付して提出します。

資料1)給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

資料1

調書の記載・提出等についての注意点

調書の作成にあたって、注意しなければならないのが消費税の取扱です。各法定調書を提出するか否かは、その年分の支払総額で判断されますが、原則は「消費税込」の金額で判断します。例外として消費税額が明確に区分されている場合には、消費税等を含めないで判定します。この場合は各調書の「摘要」の箇所に消費税額等を記載します。

また、平成28年(2016年)1月からのマイナンバー制度の導入により、平成28年(2016年)分の支払調書から「個人番号」または「法人番号」を記載することになっています。その番号の管理については会社で十分留意して慎重に取り扱うようにしなければなりません。

調書の作成は効率よく行えるように準備しておきましょう

法定調書の提出期限は翌年1月31日と、「給与支払報告書」や「償却資産申告書」などの書類の提出期限と同じです。経理の作業量が膨大になる時期ですので、前もって段取りをつけておくことが肝要でしょう。また、マイナンバー制度の導入による「個人番号」等の収受にも時間がかかることが想定されますので、当該年内のうちから作業を開始しておくとよいでしょう。

【参考】
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和5年分)国税庁
  • 社会保障・税番号制度<マイナンバー>について 国税庁