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年明けの確定申告で一気に稼ぐ!青色申告会のお仕事とは

青色申告・確定申告業務の求人一覧

税理士 鈴木まゆ子

年明けになると、青色申告や確定申告に関する求人が急増します。特に注目したいのが「青色申告会でのお仕事」です。

「青色申告会」と聞いてもあまりピンと来ないかもしれません。実は「青色申告会で働く方がトクだ」と感じる人は少なくないのです。

今回、青色申告会の業務全般と年明けのお仕事についてお伝えします。

1. 確認しよう!青色申告とは何か

そもそも青色申告とはどのようなものでしょうか。ここで確認しましょう。

(1)青色申告とは「自主的な記帳・申告・納税をうながす制度」

青色申告というと、税制上の優遇策ばかりが注目されますが、本来の目的はまったく違うところにあります。この制度は、事業主が自主的に帳簿書類を備え付けて会計記帳を行い、所得税や法人税を自ら計算して申告・納税をさせるようにするためのものです。

日本の税制は戦後、申告納税制度を採用しました。つまり、日本の税制は「納税者が自ら所得と納税額を計算し、申告をして納税する」のが前提なのです。

しかし、放っておいては自主的に正しい申告をするとは限りません。そこで、いくつか税制優遇となる特典を設けて適正な記帳や帳簿保存を納税者に行わせ、自主的な申告と納税を促すための制度が設けられました。この制度が青色申告です。

なお、個人での青色申告は誰でもできるわけではありません。事業所得・不動産所得・山林所得のみが対象となります。個人事業主や不動産オーナーであれば、青色申告ができます。

(2)青色申告を行うと税制上の特典がたくさんある

青色申告を行う個人は、次のような税制優遇が受けられます。

  • 1.特別控除(65万円・55万円・10万円)
  • 2.青色事業専従者給与を必要経費として計上
  • 3.30万円未満の固定資産をすべて即時償却
  • 4.損失を翌年以後3年間繰り越せる
  • 5.損失を前年分に繰り戻せる

この他「貸倒引当金を計上できる」というメリットもあります。こういった特典を適宜使うと、かなりの節税効果をもたらします。この節税効果に着目し、適正な記帳や会計書類の保存に励んでいる個人事業主は少なくありません。

(3)e-Taxをしないと65万円控除はできない

今、特に注目を集めているのが1の特別控除です。従来、特別控除額は次の2つだけでした。

  • ・65万円…正規の簿記の原則に従って記帳を行い、青色決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成したときの控除額。
  • ・10万円…簡易な簿記や現金主義で記帳をし、収支内訳書を作成・提出したときの控除額。

しかし、令和2年分から、65万円控除が「65万円控除」「55万円控除」の2つに分かれました。65万円控除は「e-taxで確定申告をした」「総勘定元帳と仕訳帳を税務署が認める形式の電子帳簿で保存した」のどちらかであれば適用できます。それ以外は55万円控除です。ざっくりとまとめると、現在の控除額は次のようになります。

  • ・65万円…正規の簿記の原則に従って記帳を行い、青色決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成したときの控除額。「e-Taxで確定申告をする」「税務署が認める形式の電子帳簿で仕訳帳や総勘定元帳を保存する」のどちらかが必須条件。
  • ・55万円…正規の簿記の原則に従って記帳を行い、青色決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成したときの控除額。紙で申告し、かつ税務署の承認が取れないような形式で総勘定元帳や仕訳帳を保存しているときが対象。
  • ・10万円…簡易な簿記や現金主義で記帳をし、収支内訳書を作成・提出したときの控除額

(4)ルールを守らないと取消も

青色申告は誰でもできるわけではありません。事前に「青色申告の承認申請書」の提出が必要です。通常は承認され、青色申告で確定申告できるようになりますが、取り消されることもあります。主に、次のようなときです。

  • ・帳簿等の保存義務を守らなかった
  • ・帳簿書類等への記載が不十分である
  • ・仮装又は隠ぺいがあったと認められる

「正しく記帳を行う」「きちんと帳簿や証憑書類を保存する」などを怠れば、せっかくの青色申告のメリットを失うおそれが生じるのです。

2. 青色申告会とは何か?知っておきたい3つの特徴

ここで気になるのが「青色申告会とはどのような組織か」です。「青色申告」という名称から分かるように、青色申告制度の普及や促進に一役買っています。具体的には、次の3つの特徴があります

(1)個人事業主を中心とした納税団体

青色申告それ自体が、事業主の正しい記帳会計を促進するための制度です。法人だと、たいていは顧問税理士がついていますが、個人事業主は最初から税理士に頼めるほどの余裕がありません。

そこで青色申告会は、個人事業主の会計記帳を支援する団体として活動しています。なお、納税団体という意義から、各地の税務署単位で組織が設けられています。

(2)会計記帳の指導以外にもメリットがある

青色申告会は、個人事業主の記帳や決算、申告の相談に応じるのが主な業務です。しかし、それ以外にも次のようなメリットがあります。

  • ・経営に関する専門家を紹介してもらえる
  • ・無料講習会がある
  • ・融資の支援をしてもらえる
  • ・他の個人事業主との交流ができる
  • ・「小規模企業共済」など共済制度の加入を手伝ってくれる
  • ・複式簿記や税務に関するハンドブックを購入できる

(3)会費が安い

青色申告会に入会するにもお金がかかります。入会費や年会費は団体ごとに異なりますが、それほど高くありません。例を挙げると、次のようになります。

  • ・神奈川青色申告会…入会費1,000円、月会費1,500円
  • ・品川青色申告会…入会費1,000円、月会費2,000円

一方、顧問税理士に依頼すると、事業所得の確定申告だけで数万円はかかります。「事業規模がまだ小さい」「起業したばかりで資金に余裕がない」といった個人事業主にとって、青色申告会は心強い味方になり得るのです。

3. 年明け1~3月が繁忙期!青色申告会でのお仕事とは

「個人事業主のサポーター」とも言える青色申告会、もっとも忙しいのは年明けの1月から3月です。なぜなら、この時期は所得税の確定申告のシーズンだからです。

(1)個人事業主は年明けの確定申告が不安

個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの売上や経費を集計し、所得額や納税額を計算して、翌年3月15日までに確定申告と納税を済ませなくてはなりません。

コツコツ記帳をしてきた個人事業主がいる一方、「あまり記帳を進められていない」「会計や税務の知識に自信がない」という人もいるのが現実です。さらに、今は「e-taxで確定申告をしないと65万円の控除ができない」というハードルもあります。

(2)青色申告会ならではの業務内容

会計や申告に不安を抱えた個人事業主を集中的にサポートするのが「年明け1~3月」なのです。この期間、次のような業務を通じて個人事業主の青色申告を応援します。

  • ・確定申告に関する事務業務(入力補助、相談対応、決算・申告指導等)
  • ・会員である個人事業主への経理指導
  • ・電話・メールによる問い合わせの対応
  • ・各種書類のファイリング

4. 青色申告会での仕事に向いているタイプ3つ

個人事業主の確定申告を、年明けの2か月半で集中的に支援する青色申告会の仕事です。この仕事に特に向いている人の特徴として、次の3つが挙げられます。

(1)会計事務所での経験がある人

個人事業主の確定申告の支援をするということは、当然、会計や税務の知識が必要となります。また、個人事業主ならではのつまずきやすいポイントや不安や悩みも知っていると、よりスムーズに対応しやすくなります。

青色申告会や会計事務所での経験が豊富であれば望ましいのですが、経験が浅くても問題ありません。データ入力やファイリングなどで支援することもできます。

(2)短期集中で稼ぎたい人

青色申告会での時給は1,500円から2,000円前後 と高単価です。しっかり休憩時間は取れますし、期間も「最長で2か月半」と決まっています。また、残業がありません。「まだ業務があるからもうちょっと働いて」といったことがないのです。

「働くのは短期間で済ませ、あとは自由に暮らしたい」
「決まった時間内で仕事を絶対に終わらせたい」

という方には、ぴったりです。

(3)人と話をするのが好きな人

青色申告会での仕事では、人とのコミュニケーションが必須になります。会計や税務と言うと、入力作業が中心というイメージがありますが、実は人との会話やメールでのやりとりの場面が多いのです。社会貢献という要素の強い仕事となります。

人とかかわりたい人、人と話をするのが好きな人、人に喜んでもらうのがうれしい人にとって、青色申告会の仕事は楽しく、かつ、やりがいの感じられるものになるに違いありません。

5. 青色申告会で働くメリットは

会計・税務の知識がより深まる

青色申告会での仕事には、「業務を通じて会計や税務の知識を深められる」というメリットもあります。「副業がしたい」「いずれ起業したい」と考えている方ならば、青色申告会の仕事はお金以上のプラスになるはずです。

実際の業務は年明け1月から3月ですが、求人は年内に始まります。気になる方は、今からチェックしておくといいでしょう。

執筆者プロフィール

鈴木まゆ子

税理士・税務ライター。2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン.キホーテ、会計事務所勤務を経て、妊娠・出産・育児を経ながら2009年税理士試験官報合格、2012年税理士登録。ZUU Online、KaikeiZine、納税通信、朝日新聞「相続会議」、マネーの達人を中心に記事執筆・税務監修が多数。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。三姉妹の母。

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