アカウンタンツライブラリー
経理の仕事に役立つ
約200タイトルの動画を配信中
税理士 鈴木まゆ子
年明けになると、青色申告や確定申告に関する求人が急増します。特に注目したいのが「青色申告会でのお仕事」です。
「青色申告会」と聞いてもあまりピンと来ないかもしれません。実は「青色申告会で働く方がトクだ」と感じる人は少なくないのです。
今回、青色申告会の業務全般と年明けのお仕事についてお伝えします。
そもそも青色申告とはどのようなものでしょうか。ここで確認しましょう。
青色申告というと、税制上の優遇策ばかりが注目されますが、本来の目的はまったく違うところにあります。この制度は、事業主が自主的に帳簿書類を備え付けて会計記帳を行い、所得税や法人税を自ら計算して申告・納税をさせるようにするためのものです。
日本の税制は戦後、申告納税制度を採用しました。つまり、日本の税制は「納税者が自ら所得と納税額を計算し、申告をして納税する」のが前提なのです。
しかし、放っておいては自主的に正しい申告をするとは限りません。そこで、いくつか税制優遇となる特典を設けて適正な記帳や帳簿保存を納税者に行わせ、自主的な申告と納税を促すための制度が設けられました。この制度が青色申告です。
なお、個人での青色申告は誰でもできるわけではありません。事業所得・不動産所得・山林所得のみが対象となります。個人事業主や不動産オーナーであれば、青色申告ができます。
青色申告を行う個人は、次のような税制優遇が受けられます。
この他「貸倒引当金を計上できる」というメリットもあります。こういった特典を適宜使うと、かなりの節税効果をもたらします。この節税効果に着目し、適正な記帳や会計書類の保存に励んでいる個人事業主は少なくありません。
今、特に注目を集めているのが1の特別控除です。従来、特別控除額は次の2つだけでした。
しかし、令和2年分から、65万円控除が「65万円控除」「55万円控除」の2つに分かれました。65万円控除は「e-taxで確定申告をした」「総勘定元帳と仕訳帳を税務署が認める形式の電子帳簿で保存した」のどちらかであれば適用できます。それ以外は55万円控除です。ざっくりとまとめると、現在の控除額は次のようになります。
青色申告は誰でもできるわけではありません。事前に「青色申告の承認申請書」の提出が必要です。通常は承認され、青色申告で確定申告できるようになりますが、取り消されることもあります。主に、次のようなときです。
「正しく記帳を行う」「きちんと帳簿や証憑書類を保存する」などを怠れば、せっかくの青色申告のメリットを失うおそれが生じるのです。
ここで気になるのが「青色申告会とはどのような組織か」です。「青色申告」という名称から分かるように、青色申告制度の普及や促進に一役買っています。具体的には、次の3つの特徴があります
青色申告それ自体が、事業主の正しい記帳会計を促進するための制度です。法人だと、たいていは顧問税理士がついていますが、個人事業主は最初から税理士に頼めるほどの余裕がありません。
そこで青色申告会は、個人事業主の会計記帳を支援する団体として活動しています。なお、納税団体という意義から、各地の税務署単位で組織が設けられています。
青色申告会は、個人事業主の記帳や決算、申告の相談に応じるのが主な業務です。しかし、それ以外にも次のようなメリットがあります。
青色申告会に入会するにもお金がかかります。入会費や年会費は団体ごとに異なりますが、それほど高くありません。例を挙げると、次のようになります。
一方、顧問税理士に依頼すると、事業所得の確定申告だけで数万円はかかります。「事業規模がまだ小さい」「起業したばかりで資金に余裕がない」といった個人事業主にとって、青色申告会は心強い味方になり得るのです。
「個人事業主のサポーター」とも言える青色申告会、もっとも忙しいのは年明けの1月から3月です。なぜなら、この時期は所得税の確定申告のシーズンだからです。
個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの売上や経費を集計し、所得額や納税額を計算して、翌年3月15日までに確定申告と納税を済ませなくてはなりません。
コツコツ記帳をしてきた個人事業主がいる一方、「あまり記帳を進められていない」「会計や税務の知識に自信がない」という人もいるのが現実です。さらに、今は「e-taxで確定申告をしないと65万円の控除ができない」というハードルもあります。
会計や申告に不安を抱えた個人事業主を集中的にサポートするのが「年明け1~3月」なのです。この期間、次のような業務を通じて個人事業主の青色申告を応援します。
個人事業主の確定申告を、年明けの2か月半で集中的に支援する青色申告会の仕事です。この仕事に特に向いている人の特徴として、次の3つが挙げられます。
個人事業主の確定申告の支援をするということは、当然、会計や税務の知識が必要となります。また、個人事業主ならではのつまずきやすいポイントや不安や悩みも知っていると、よりスムーズに対応しやすくなります。
青色申告会や会計事務所での経験が豊富であれば望ましいのですが、経験が浅くても問題ありません。データ入力やファイリングなどで支援することもできます。
青色申告会での時給は1,500円から2,000円前後 と高単価です。しっかり休憩時間は取れますし、期間も「最長で2か月半」と決まっています。また、残業がありません。「まだ業務があるからもうちょっと働いて」といったことがないのです。
「働くのは短期間で済ませ、あとは自由に暮らしたい」
「決まった時間内で仕事を絶対に終わらせたい」
という方には、ぴったりです。
青色申告会での仕事では、人とのコミュニケーションが必須になります。会計や税務と言うと、入力作業が中心というイメージがありますが、実は人との会話やメールでのやりとりの場面が多いのです。社会貢献という要素の強い仕事となります。
人とかかわりたい人、人と話をするのが好きな人、人に喜んでもらうのがうれしい人にとって、青色申告会の仕事は楽しく、かつ、やりがいの感じられるものになるに違いありません。
青色申告会での仕事には、「業務を通じて会計や税務の知識を深められる」というメリットもあります。「副業がしたい」「いずれ起業したい」と考えている方ならば、青色申告会の仕事はお金以上のプラスになるはずです。
実際の業務は年明け1月から3月ですが、求人は年内に始まります。気になる方は、今からチェックしておくといいでしょう。
税理士・税務ライター。2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン.キホーテ、会計事務所勤務を経て、妊娠・出産・育児を経ながら2009年税理士試験官報合格、2012年税理士登録。ZUU Online、KaikeiZine、納税通信、朝日新聞「相続会議」、マネーの達人を中心に記事執筆・税務監修が多数。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。三姉妹の母。
この執筆者の他の記事を見る大規模な青色申告会で1月~3月15日まで確定申告のお仕事。中小規模の日常経理~決算業務や個人確定申告業務、会員さんへの経理指導などをお願いします。
落ち着いた小規模な申告会で1月~3月15日5まで確定申告のお仕事。会員さんへの決算書、各種申告書類の作成指導や弥生会計への入力などをお願いします。
資産税を得意とする税理士法人で1月~3月15日まで確定申告のお仕事。確定申告に関わる入力・事務業務及びExcelによる集計業務、ファイリングなどをお願いします。営業事務、一般事務経験があれば未経験からチャレンジできます。
国内上場企業、未上場優良企業、監査法人、大手会計事務所、税理士法人、コンサルティング会社、外資系企業、株式公開前のベンチャー企業、銀行・証券会社など、取引実績企業は2,400社以上です。
日常的な経理のお仕事から、公認会計士、税理士、弁護士、米国弁護士などのエキスパート向けのお仕事まで幅広くご案内致します。
一人のエージェントが、企業様へ営業活動・求人内容の聞き取りをし、スタッフ様へお仕事のご紹介・就業後のフォローまで一連を担当します。
企業様とスタッフ様の精度の高いマッチングが可能となり、お仕事のご紹介の際は業務の流れや内容、派遣先の雰囲気、担当者の人柄など細かな情報をお伝えすることが出来ます。
弊社では現状のスキルに沿ったお仕事のご紹介だけではなく、一生涯サポート出来るよう、ジャスネットならではの教育サービスをご提供。
派遣登録がお済の方は、特典として経理に役立つ動画サイト(アカウンタンツライブラリー)で提供する100タイトル以上の動画講座を無料でご利用いただけます。
簿記の復習から売掛、買掛から月次、単体などの日常業務のポイントからエクセルや会計ソフトの使い方など、様々なコンテンツを取り揃えておりますので、是非ご活用ください。
»「Accountant's Library(アカウンタンツライブラリー)」はこちらから
ジャスネットコミュニケーションズ株式会社HR事業部
あなたの可能性を最大限に引き出します。
ジャスネットでは、「経理・会計」分野に係わる方々、目指す方々が描く理想のキャリアプランを実現するために、あなたのキャリアステージに適した派遣・紹介予定派遣の仕事をご紹介します。