現在、派遣社員として経理の経験を積んでいるという方の中には、将来的に正社員として一社で深く業務に携わりたいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。そんな中、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?
「今さらだけど派遣社員と正社員の働き方の違いってなんだろう・・・」
「派遣なら様子を見ながら契約を更新できるけど、正社員になって、職場環境や業務内容が合わなかったらどうしよう・・・」
「転職するとき、今までの派遣での経理経験は評価されるのか不安・・・」
ご安心下さい!ここでは経理職として派遣社員から正社員になるためのノウハウを3つのステップに分けて解説していきます。
是非ご自身のキャリアアップの参考にしてみてください。
具体的に正社員を目指して行動を起こす前に、まずは現状把握をしてみましょう。
派遣社員から正社員を目指そうと思ったきっかけは何ですか?
今の状況から何を変えて、どのようになっていきたいのか、それを実現するための選択肢が「雇用形態」なのか「業務内容」なのか、はたまた「職種」や「企業の業界」なのか・・・など、きちんと分析・検討することがステップアップのポイントです。
転職活動をしていく中で、漠然と「正社員を目指している」ということはありませんか?
まずは雇用形態別の特徴をおさえてみましょう。
あなたの希望をかなえるための手段として、「正社員」という雇用形態が妥当かどうかを精査することが肝心です。
雇用形態には、以下のような種類が挙げられます。
上記のうち、①~③が直接雇用、つまり就業先の企業が雇用主として、労働者と直接契約を結ぶ形態をとります。
④と⑤については、派遣会社と労働者が雇用契約を締結する形態です。
契約の形態による事務的な違いというよりも、雇用形態が違うことで、どのようなメリット・デメリットがあるのかということを考える必要があります。
特に正社員と派遣社員では大きく異なるわけですが、それぞれの働き方の特徴はこちらで詳しく解説しています。
入社時(転職活動時)のメリット・デメリットももちろんですが、将来的なキャリアを考えるにあたっては、入社後のメリット・デメリットについても良く検討しましょう。
そして、ここで詳しくご紹介したいのが、「紹介予定派遣」についてです。
紹介予定派遣とは、「直接雇用に切り替わることを前提とした派遣」という就業形態です。
前提となっている直接雇用とは、上記で挙げた①~③ですが、その求人の大半が正社員への切り替えを前提としています。
紹介予定派遣としての派遣期間は法律で最長6ヶ月間と決まっており、就業先も求職者もその派遣期間にお互いがマッチしているかどうかを実際に働きながら判断することができます。派遣期間を経て、お互いに直接雇用契約を取り交わす意思が合致した場合のみ、雇い入れとなります。
そのため、実際に就業してみてイメージと違った場合には、求職者側から直接雇用への切り替えをお断りする権利があります。その場合は、あくまでも紹介予定派遣ですので、派遣としての契約期間を満了とし、正社員としての職歴を無駄に増やすことにはならないのです。
紹介予定派遣のメリットや詳しい解説についてはこちらの記事も是非ご覧下さい。紹介予定派遣の求人への応募から正社員登用までの流れも説明されています。この記事からも、派遣会社が間に入っていることによるメリットが非常に大きいということが良く分かります。
「紹介予定派遣で就業した場合、何%の確率で正社員になれますか?」というご質問を頂くことがよくあります。
実際の事例から確率を計算することは可能ではありますが、先述したとおり派遣先と派遣社員の方が、お互いにミスマッチがないかどうかを働きながら確認するため、そのマッチ度合いによって変わるというのが実際のところです。
紹介予定派遣は、働き始めてからのミスマッチを不安に思う方にとっては、最初から直接雇用で入社するよりも、就業開始後に入社するかどうかを判断できるという点で、リスクの低い雇用形態と言えます。
とはいえ、派遣社員と正社員の時期では年収や福利厚生の差があるのではと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
紹介予定派遣の求人情報には、基本的に派遣期間の時給と、直接雇用に切り替わった際の想定年収も提示されていますので参考にしてみてください。
また、紹介予定派遣で正社員に切り替わるまでの事例と収入シミュレーションはこちらからご覧いただけます。
是非、紹介予定派遣も一つの選択肢としてご検討してみてはいかがでしょうか。
派遣の求人の中には、紹介予定派遣という契約形態をとらないまでも、「将来的には正社員として採用したい」という希望を持ちながら募集をしている企業もあります。
この場合は、紹介予定派遣のように派遣期間が最長6ヶ月と決まっていないため、いつ正社員になれるかはわかりませんが、長期就業の実績が評価されて正社員登用される可能性を秘めている場合があります。
募集の段階で正社員登用を視野に入れている求人もありますが、実際には派遣就業が始まってお互いの相性が非常によく、また働きぶりやお人柄が評価されて企業側から正社員のオファーがあると
いうケースが多いようです。この方法で正社員になることができれば、新しい職場でのミスマッチを不安に思うこともなく、安心して就業を継続することができますので、職場環境の相性を重視している方には、入り口が派遣という雇用形態はおすすめです。
紹介予定派遣で正社員に切り替わった方のインタビューも含め、こちらには経理職の派遣社員から正社員登用された方の事例が数多く掲載されています。派遣就業中に心がけていたことや、切り替わったポイントなどについてもお伺いしています。
是非ご自身の状況と重ね合わせて参考にしてみてください。
今の派遣先を辞めて新たに紹介予定派遣や正社員の求人にチャンレンジするにせよ、今の派遣先で正社員登用されることを狙うにせよ、今までの実務経験を正当に評価してもらい、今後のポテンシャルを感じてもらうことが非常に重要です。
そのためにも、長期的なキャリアアップを見据えて、日々自己研鑽を続けていくことが大切です。ここでは、実務経験+αになる自己研鑽の方法をご紹介していきます。
経理職としてキャリアアップしようと考えるときに必要なのは、自分自身が経理のキャリアの中でどの位置にいるのかを認識することです。そして、それを踏まえた上で、今後経理のどのような業務に携わることになれば、それが自分自身のスキルアップと言えるのかを考えて見ましょう。
こちらの記事では、経理職のキャリアアップをチャートにして解説しています。
是非ご自身が現在携わっている業務が経理という仕事全体のどのあたりの位置なのかを照らし合わせてみてください。
今現在、経理職として活躍している方であれば、ほとんどの方が簿記の資格をお持ちかと思います。次のキャリアアップにあたって、さらにハイレベルな資格や知識を持っていることは、転職においてもプラスに働くことは間違いありません。
ご自身が次のステップをどのような方向性で考えているのかにもよりますが、公認会計士や税理士などの資格のほか、例えば今後外資系企業で英文経理のスキルを積んでいきたいのであればBATICやUSCPAの資格の勉強をするのも良いでしょう。
経理だけでなく、管理部門を広く対応できるゼネラリストを目指すのであれば、人事労務系のスキルとして、社会保険労務士や給与計算実務能力検定試験などもおすすめです。
経理職でキャリアアップを目指している方にとって、業界や業務レベルを問わず是非おすすめしたいのがFASS検定試験です。
FASS検定の試験は、合否ではなくスコアで結果が出ると同時に5段階のレベルで評価されます。そのため、定期的に自分自身の実務スキルを計るのに最適です。また、試験分野が資産分野・決算分野・税務分野・資金分野と分かれているため、得意分野や、今後スキルを身につけていく必要がある分野なども把握することが可能です。
このFASS試験対策として勉強するのがスキルアップに効果的なのはもちろんですが、もう少し業務内容を噛み砕いた講座から学習していくのも良いでしょう。こちらのページでは、経理職のレベル別学習プランを紹介しています。
また、他の企業の経理パーソンと意見交換ができる勉強会などを積極的に活用して、実務のレベルを上げていきましょう。
今現在の仕事に役に立つことはもちろん、このような日々の自己研鑽は、転職活動の際にも自己PRとしてアピールすることができます。
基本的な履歴書・職務経歴書の書き方は正社員の求人に応募する場合と派遣会社へ登録に行く際に作成する場合と大きな差はありません。
まずは以下の記事で基本を振り返っておきましょう。
外資系企業に応募する際などは、英文レジュメの提出を求められることもあります。
・経理職の履歴書の書き方
・経理職の職務経歴書の書き方
・経理職の英文レジュメの書き方
この3つの書類の中で、特に重要なのは「職務経歴書」です。既に派遣社員として経理の実務経験がある場合は、その経験を存分にアピールしましょう。その際に重要なのは、経理として経験してきた実務の内容をいかに具体的にかつ簡潔に表現できるかということです。実は、経験してきた就業先の業界や特徴によって、書き方のポイントは異なります。
是非こちらの記事も参考にしてみてください。
また、複数の派遣先で経理の実務経験を積んできた方は、職歴の見せ方について悩まれることも多いかと思います。
その場合は、履歴書の職歴欄には派遣元である派遣会社の社名で一つにまとめ、職務経歴書で詳細を記載するとコンパクトにまとまります。全体の職歴の数によって、一つの派遣先での経験内容の長さは調整してみてください。
また、特にアピールしたい業務経験については詳細に記載するなど、強弱をつけても良いでしょう。
派遣就業の場合は面接ではなく「職場見学」や「顔合わせ」の機会があることが多いのですが、紹介予定派遣の場合は正社員の求人に応募する際と同様に、面接を行うことが認められており、ほとんどの場合が実施されています。
紹介予定派遣の求人の応募をする際にも、やはり面接対策は必須であると言えるでしょう。
基本的な面接前の心得は、こちらからご覧ください。
また、派遣の「職場見学」では聞かれることがあまりない「志望動機」については特に入念な準備が必要です。自己紹介や志望動機の説明のポイントは、こちらを参考にしてみてください。
紹介予定派遣の求人に応募する際に注意しておきたいのが下記の三点です。
スキルアップのための転職としては、①は必ずチェックしておきたい項目です。特に、今現在募集しているポジションやその業務内容はもちろんのこと、採用側も応募者側も正社員として長く就業することを前提としているのであれば、将来的な業務の広がりやジョブローテーションの可能性なども確認しておきたいところです。
求人によっては、管理部門の募集であっても本社勤務とは限らず、直接雇用に切り替わる際に総合職扱いでの採用を前提としているものもありますので、気になる方は転勤の可能性なども事前に確認しておきましょう。
②は、紹介予定派遣の派遣期間終了後に直接雇用に切り替わる際の雇用契約の内容に関することですが、直接雇用とは言っても正社員ではない場合があります。
契約社員やアルバイト契約を前提としている求人もありますので、必ず確認するようにしましょう。
③については条件の面ですが、例えば年収は「残業代が込みまたは、別途支給か」という点や賞与についてもある程度前提としている条件があります。また福利厚生については、派遣期間中は派遣会社によって社会保険の加入ができますが、直接雇用に切り替わった後は直接雇用契約を結ぶ就業先の保険に加入し直すことになります。昨今は派遣会社の福利厚生もかなり充実しているところが多いので、必ずしも直接雇用された後のほうが条件が良いとは限りませんが、参考程度に確認しておくと良いでしょう。
以下の求人は、今まで弊社にご依頼いただいた紹介予定派遣または正社員の可能性がある派遣の求人の一例です。
JASDAQ上場/IT・通信系企業での経理です。
決算書作成、連結決算、監査法人対応、税務関連、予算管理、役員会資料作成・報告等の高度業務も担当出来ます。
紹介予定派遣(最大6か月)
港区
時給 1,600円~1,900円
月収例 25万6,000円
ファッション関係に特化した広告企業での経理です。最初は日常経理業務をお任せ致します。社員登用後は業務の幅が広がり、将来的には経理主担当として会社の業務をお任せする予定です。
紹介予定派遣(最大6か月)
渋谷区
時給 1,700円~1,800円
月収例 27万2,000円
世界でもトップクラスのシェアを誇る外資系企業でのお仕事です。経理業務の他、経営資料やレポートの作成など幅広く担当出来ます。簿記の知識やExcelスキルを活かせる環境です。
紹介予定派遣(最大6か月)
港区
時給 1,600円~1,800円
月収例 24万円
住宅制度運営のアウトソーシング事業会社での経理です。経験と能力により高度業務を任せてもらえる環境です。期的にチームミーティングを開き、スキルアップの為の勉強会を開いています。
長期派遣
新宿区
時給 1,600円
月収例 25万6,000円
この他にも、「1-2. 実は派遣から正社員に切り替わるというルートもあり!」でもお話したように、お互いの相性が良ければ直接雇用に切り替わる可能性があるという求人も多数ありますので、是非長期派遣の求人もチェックしてみてください。