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経理の仕事に役立つ
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日本の経済を支えるひとつの柱、製造業。製造業における経理の流れを習得すれば、日本経済も見えてきます。
「原価計算」をキーワードに製造業における経理を紐解いていきましょう。
日本の製造業として思い浮かべるのは自動車、家電製品、機械、部品などでしょうか。世界にその名を知られている日本のメーカーも多くあり、日本経済を支えている大きな柱のひとつとなっています。
では、製造業とは一体、どのような業種なのでしょうか。
製造業とは、小売業の「モノを仕入れて売る」というサイクルを基本として、「原材料を購入し、工場で製造を行い、製造した製品を販売することで収益を得るもの」をいいます。
つまり製造業の特徴は、自社で材料を仕入れて、製品を製造するという点です。
自社で製造を行うことから、経理の観点から考えると、製品を作るのにいくらかかったか?という原価計算(工業簿記)が必要とされます。
小売業などでは損益計算書の「売上原価」や貸借対照表の「商品」の金額は、外部から仕入れた商品の原価を元にして計算できますが、製造業では自社で製品を製造するためこれらの金額を計算することが求められます。
そこで、損益計算書の「売上原価」や貸借対照表の「製品」(製造業では「商品」ではなく「製品」となります)の金額などを計算するために行われるのが原価計算であり、製品1個当たりの製造原価を算出することが(製品)原価計算の主な目的となります。
また、製造業が他の業種と一番大きく異なる点は、自社で生産した製品を販売しているという点です。
製造業は、製品の原材料を仕入れて、工場で従業員が生産・加工を行って製品を完成させます。
そこで、製造業独特の会計として原価計算というものが存在し、決算書類として「貸借対照表(=会社の財産が分かる書類)」、「損益計算書(=いくら利益が出たか分かるもの)」に加え「製造原価報告書(=製品を作るのにいくらかかったか分かるもの)」を作成します。
これは、原価計算の計算過程を報告するもので、製造業にはなくてはならない帳簿です。
では、製造原価報告書の作成にあたり、具体的に原価計算の手順を受注生産形態のメーカーを例として見てみましょう。
原価計算は以下の3つの手順でなされます。
1つ目は「費目別原価計算」です。外部から購入してきた原材料等を材料費、労務費、経費と3つに分類して、これを製品ごとに把握できる原価と把握できない原価に分類します。
2つ目は「部門別原価計算」です。
費目別原価計算で把握された原価要素のうち製品ごとに把握できない原価(=製造間接費)を一定の基準を使って個々の製品の原価として配賦します。
そして3つ目は「製品別原価計算」です。
費目別原価計算、部門別計算を経て、どの製品にどれだけの原価が総額としてかかったかを計算します。
複雑ではありますが、このような手続きの全体を把握できることが、製造業における経理に求められることになります。
前述のとおり、製造業における経理には原価計算への理解が必須です。
また、原価計算を理解することによって会社全体のおおまかな形も把握できるようになります。
つまり、原価計算によって正確な製造原価が計算できると、会社内部の各部署において原価の削減や予算の設定について次のような有用な情報を提供できます。
例えば、営業部門では製品の正確な原価の把握により、いくらで売ればよいのかの判断に役立ちます。
製品ごとの利益率が把握でき対外的な値引きの交渉等にも有用でしょう。
製造部門では、製品の原価構造が把握でき製造活動の改善、つまりコスト削減に役立ちます。
管理部門では、長期的な会社の経営戦略の策定、つまりどのような製品をどれくらいの原価で作るか等に有用な情報を提供できるでしょう。
このように、原価計算の知識をもつことによって、経営判断にも使われる有用な情報を様々な部署に提供できるようになります。
そして、それが働く自分のキャリアやスキルアップにも確実に結びついていくのです。
製造業といってもその業種は多岐にわたり、経理の仕事の幅も様々です。
それぞれの会社で経験を積み、仕事を通じて会社の経理、製造過程を理解していくことが重要となってきます。
また、日商簿記2級レベルの知識をもっていると理解も深まり、業務もよりスムーズに進めていくことができるでしょう。
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