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経理の仕事に役立つ
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土地、建物などの不動産に携わる全ての業種を不動産業と言います。
その中身を整理すると、不動産分譲業、不動産仲介業(賃貸・売買)及びそれ以外の不動産関連サービス業に分けられますが、ここでは特に不動産分譲業に焦点を当ててその業務における経理事務の特徴を見てみましょう。
マイホームの購入は、一生に何度もない大きな買い物です。いつかは新築のマンションや一戸建てに住みたい、と夢を膨らませている人も多いのではないでしょうか。不動産分譲業とは、土地を仕入れ、そこにマンション、一戸建てを建築・販売することによって利益を得る業のことをいいます。
1つの事業に際して長期間にわたるスケジュールを要する、先行して多額の資金負担が必要となる、土地情報の入手から事前調査・事業や建築物の企画まで行う、各機関への許認可申請などが必要、などが特徴として挙げられます。
会社としては、大きな収益が得られる反面、様々なリスクも考えられるので、長期的な計画力や地価の変動などにも対処できる体制を整えておく必要がある業種です。
業界の特徴が分かったら、今度はマンション分譲のケースを例に、不動産分譲業の実際の業務の流れをイメージしてみましょう。
不動産分譲業では、最初に用地確保・物件の企画を行います。つまりどのような土地を購入して、どのような物件を建設するかを、経済情勢や市場動向、実際の現場の確認など、様々なデータを分析・駆使して企画を決定します。
次の段階は企画設計と造成・建築工事で、実際に建物を建設していきます。自社で建設することもありますが、日本のデベロッパー(不動産分譲業者)は物件の購入や企画、販売を自社で行い、建設については建設会社に依頼するのが一般的です。
続いて、住宅情報誌やチラシ、HPなどを利用し販売活動を行い、モデルルームに購入希望者を誘引するなどし、成約へ結びつけます。そして工事の完了後、最後に引き渡し・売上計上という流れになります。
業務の流れが分かったら、今度は実際の会計処理の特徴をつかみましょう。
不動産分譲業の会計と一言で言っても、そのケースは多種多様です。
今回は建設について建設会社に依頼した場合と自社で建設した場合の2つのケースを見ていきましょう。
まず、建設会社に依頼した場合です。
通常の小売業と同じく「売上-仕入(=建設業者からの建物の仕入)=儲け(=利益)」で経理が行われます。売上の計上は、完成後の物件の引き渡し時(=工事完成基準)となります。
では、自社で建設した場合はどうでしょうか。この場合、会計処理は製造業に類似します。
「売上-製造原価=儲け(=利益)」ですが、不動産販売業及び不動産販売の契約形態から、特徴的な会計(=工事進行基準による計算)が多く用いられます。
不動産販売業では、受注時に顧客との契約により受け取る金額が確定します。また顧客との契約により、顧客の指示にもとづいて工事を進めていき、完成した後に引き渡します。一般的に受注から引き渡しまで長期間になることが多いため、引き渡し前の工事の進行中においても、その進捗度合いに応じて売上を計上していくという工事進行基準が用いられます。
具体的には、本来なら引き渡し時まで計上しない売上を決算期末の工事進捗の程度から見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を当期損益計算書に計上する方法です。すでに受注額は確定しているので工事の進捗度合いによって売上等を漸次計上していく方法は、実は一番実態に即しています。
また、国際的には長期の建設にあたっては、必ずこの工事進行基準を用いることとされています。日本が今後、国際会計基準に全面準拠するようになれば、この考え方による会計が重要になってくるでしょう。
不動産業と言っても多種多様な業種があり、一括りにすることはできませんが、日商簿記3級レベルの知識を持って個々の会社の経理を実地で覚えていくという形が良いように思います。
また、その他の不動産知識については「宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)」の勉強も大変有用になるでしょう。
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