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Column –経理に役立つコラム-

業界別経理のお仕事~コンテンツビジネス業編~

知的生産物を生み出す、コンテンツビジネス業

業界別経理のお仕事~コンテンツビジネス業編~コンテンツビジネス業とは、映画・音楽・アニメ・書籍・ゲームなどのような知的生産物の製作、管理、提供にかかわるビジネスのこと。
会計処理については画一的な基準はなく、各会社独自の処理をしていることが多いようです。

コンテンツビジネス業の特徴

コンテンツビジネス業は、ものを作るという点では製造業に類似しています。
経理の特徴は、売上に結びつくまでの費用が莫大にもかかわらず、その回収の可能性が不確実であるということ。例えば、多額な制作費をつぎ込んで公開した映画の観客動員数が伸びなかった場合は、映画製作会社は大損害を被ることになります。

また、コンテンツとなる素材は著作権で保護される無形資産です。
この資産を多様なメディアを用いて私たち消費者に提供できるということも特徴として挙げられます。
映画であれば劇場で公開し、その後DVDとして販売、またはテレビ局に放送権を売るなど、様々な形で利用することができます。

商業簿記だけでなく、工業簿記の知識も必要

派遣で経理の仕事を行う場合には、コンテンツビジネス業の具体的な業務に携わることはあまりないでしょう。
コンテンツビジネス業の基本的な経理業務は、他業種と大きく異なることはありません。
ただし、製造業に類似する部分がありますので、商業簿記だけでなく、工業簿記(原価計算)の知識も必要となります。

商業簿記では商品を仕入れて販売(売上)するという一連の取引の流れを仕訳し、総勘定元帳や補助簿を作成します。そして、月のまとめとして、総勘定元帳の勘定科目ごとの残高一覧表である試算表を作ります。
この試算表では毎月の経営状況を確認することができます。

決算期末が来ると、今度は決算整理仕訳を作成します。
決算整理仕訳は、企業が正しい貸借対照表、損益計算書を作るための仕訳です。
最後に決算書を作成します。決算書は貸借対照表や損益計算書等からなり、その会社の一年の利益や財産の状態を表す書類です。

工業簿記は、商品を仕入れるのではなく"自ら製造する"という部分が商業簿記と異なります。
製造業では、原材料を購入・加工して製品化し販売します。
これをコンテンツビジネス業にあてはめると、例えばゲームソフトの場合は、プログラマーを雇い、ゲームソフトを製作。その後、CDなどの記憶媒体に落とし込んだものを製品化して販売するというイメージです。
このように製品にするまでにかかった経費を集計するのが原価計算になります。

コンテンツビジネス業にみられる特徴的な会計処理

経理の仕事は、一般的な簿記の知識で対応できますが、コンテンツビジネス業ではコンテンツそれぞれの特徴に応じた会計処理が行われるものがあります。
この業界の会計処理基準は整備されていないので、各会社独自で会計処理を行っています。

出版業界では、書店で売れ残った出版物は委託期間内であれば取次店を通して出版社に返品することが可能である委託取引が主流です。出版社から一旦出荷して売上にも計上したものが返品された場合、未実現の利益が計上されてしまうことになります。
これに備えて出版業界では、当期に販売した出版物について書店等と返品契約を結んでいるときに、将来の返品に備えて引当金(=返品調整引当金)を設定します。
出版物自体は戻ってくるので、返品額と返品された出版物の原価の差額(=利益部分)が引当金として計上されます。

音楽業界では製品化されるまでは仕掛品として棚卸資産として取り扱われますが、製品販売後どの時期で費用化するのか、明確な基準がないので複数の処理が考えられます。
例えば、数量限定で販売する場合は販売総数に総原価を按分して費用と収益を対応させるのが合理的。
また若手アイドルの音楽コンテンツについて売れる期間は短期間と想定したならば、販売日の属する会計期間に全額費用化されるべきでしょう。
このように、音楽業界ではその音楽コンテンツの性質によって複数の会計処理が採用されます。

ゲームソフト会社がソフトを作るのにかかった経費についても、処理の仕方が複数あります。
ただし、このソフト製作の費用処理のしかたについては、「研究開発費等に係る会計基準」など複数の会計基準が整備されているのでこれに従うことになります。
簡略化していえば、製品マスター(ゲームソフトの原盤)ができるまでにかかった支出は研究開発費として支出時に費用とし、製品マスター完成後の支出は一定の場合を除き無形固定資産として資産計上して、漸次費用化されていくこととなります。

派遣先の処理方法に従うこと

コンテンツビジネス業は製造業の一種とも捉えられるので、商業簿記と工業簿記の知識は必要かと思います。
ただし前述のとおり、画一的な会計基準が整備されていないので会社の特徴的な会計処理に少しとまどうことがあるかもしれません。
しかし一度理解できれば難解な処理はありませんので、自分の知識を基礎に実務の中で身につけていきましょう。

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