業界別経理のお仕事～レジャー産業編～

幅広い産業が揃う

ひと言で「レジャー産業」といっても旅行業、ホテル業、テーマパーク業、それ以外にも多岐にわたります。
ひとくくりに説明することは難しいですが、一般的な業界の特徴と経理についてお伝えします。

レジャー産業とは

レジャー産業には、先に挙げたものの他、外食産業や文化施設などが含まれます。
今回はこの中でも、旅行業、ホテル業、テーマパーク業にスポットをあてて説明したいと思います。

旅行業は対価を得て旅行に関するサポート全般を行う事業です。
旅行業を行うには旅行業法に従い、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。
また、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を置くことが義務づけられています。
主な業務は旅行者が交通機関、宿泊場所の予約が取れるように手配をすることです。

ホテル業は旅館業の一形態です。
旅館業は、旅館業法によれば「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義されています。
この事業にはホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の４業種があります。
ホテル業の事業内容には宿泊サービスの提供の他、料理の提供、宴会のサービスなど様々なものが含まれます。またホテル業は、24時間サービスを提供し続けるということが他業種と大きく異なっています。

テーマパーク業は特定のテーマに基づいた観光施設を運営する事業のことです。
テーマパークでは利用者が長時間をかけて楽しむので、場内に飲食店や土産物店を設置しています。
そのため、テーマパーク業は入場料の収入以外の物販収入なども多額になる特徴があります。

レジャー産業の経理の仕事について

レジャー産業の基本的な経理の仕事は、他業種と大きく違う点はありません。
日々の業務には仕訳の作成があります。対象は資産、負債、資本、収益、費用です。作業としては取引の際に受け取った請求書、領収書などの金額を会計ソフトに入力すること。
会計ソフトに仕訳を入力すると自動的に総勘定元帳、補助簿及び試算表が作成されます。

総勘定元帳は、仕訳を基に勘定項目を集計したものです。
補助簿（補助元帳）は、現金、預金、受取手形、支払手形、買掛金など、動きが多い科目の管理を目的として、現金出納帳、預金出納帳、受取手形記入帳、得意先元帳、仕入先元帳等という名称で元帳を細分化したものです。
試算表は各月のまとめとして作った、総勘定元帳の勘定科目ごとの残高一覧表をいいます。
この試算表では月次ごとに各企業の経営状況を確認することができます。

決算期末がくると、決算整理仕訳に入力します。
決算整理仕訳は、企業が正しい貸借対照表、損益計算書を作成するための仕訳です。
最後に作る決算書は、貸借対照表や損益計算書などからなり、その会社の一年の利益や財産の状態を表す書類です。

固定資産の経理処理が特徴的

レジャー産業全般の特徴として挙げられるのは、固定資産への支出額が大きいということです。
通常、固定資産の会計処理は土地などを除き、減価償却が行われます。
減価償却とは、固定資産の取得原価を耐用年数に応じて各事業年度の費用として配分する手続きのこと。
企業は、建物や施設などの固定資産を利用し収益を上げています。

したがって、収益を得るために貢献した金額を合理的に見積もり、その金額を費用として計上することによってその差額である利益を計算します。
貸借対照表に計上される固定資産の金額は、取得原価からこれまでに費用として計上された部分を除いた残額（帳簿価額）になります。

レジャー産業では固定資産への支出が多額になりがちですが、完成後、想定よりも人気が出ず十分な収益獲得ができないケースも多く見られることから減損会計の適用が多くなっています。
減損会計とは、過大に評価された帳簿価額を減額することにより将来に損失を繰り延べしないために行われる会計処理をいい、これは「固定資産の減損に係る会計基準」にしたがって処理されます。

手順としては複数の固定資産をグルーピングしてひとつの資産群と想定し、一定の方法によってこの資産群に減損の兆候があるかを判定し、その減損損失の金額を認識し測定します。
損失の金額は損益計算書の特別損失項目として表示されます。
これは減損損失が、減価償却費とは異なり毎期発生するものではなく、異常性のある損失だからです。

取引先が多く管理は煩雑。最低限の簿記知識を

レジャー産業は取引先が多くなるので、収支の管理や会計処理が煩雑になります。
しかし、経理を行うための知識としては複雑なものは要求されないので、最低限の簿記の知識を身につけていれば、配属後は各会社の採用している処理方法を覚えていくという姿勢でいいと思います。

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