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Column –経理に役立つコラム-

業界別経理のお仕事~自動車産業と電機産業編~

日本が誇る自動車産業と電機産業

業界別経理のお仕事~自動車産業と電機産業編~今回は、日本の基幹産業である製造業の中から自動車産業と電機産業を取り上げます。
両者は一見関連がなさそうな事業ですが、近年、電気自動車の普及が進んでいることから結びついて、製品を作っている分野もあります。
それでは、両業界の特徴と業界特有の経理処理などを説明します。

自動車産業及び電機産業はどんな業種?

自動車産業とは、自動車の生産のみならず販売・整備まで含めた関連する事業全てを指します。
自動車の生産から販売までを行う自動車産業は、規模を問わず国内外の企業が多く関わっている我が国の基幹産業です。輸出の占める割合が高く、海外の景気動向と為替の変動による影響が大きい産業です。
また最近では、海外でのリコールで大きなダメージを受けている自動車会社も存在します。

一方、電機産業は電力によって稼働する製品を製造・販売する事業ですが、その製品は多種多様です。
生産形態で分類すれば、電子部品や家電製品のような大量生産を行う場合と、対企業向けの個別受注品を作る場合に分けられます。適用すべき原価計算方法も、その種類ごとに異なってきます。
近年では大量生産を行う電機産業では価格競争が激しくなり、人件費の高い国内ではなく海外で生産して日本に輸入するケースがほとんどです。

まずは原価計算を理解しよう

経理の仕事としては、自動車産業及び電機産業も基本は製造業ですので工業簿記(原価計算)を理解しておく必要があります。ここでは、生産形態に従ってそれぞれの原価計算について説明します。
原価計算には総合原価計算と個別原価計算の2つがあります。

まずは、総合原価計算です。
自動車産業と電機産業のうち、家電製品のように大量生産を行う場合の原価計算を総合原価計算といいます。
この計算では第一段階で費目別計算を行います。
自動車産業ではほとんどの部品を外から調達しているので、原価要素のうち原材料費の比率が高くなります。

次に、第二段階として部門別計算を行います。
部門別計算は費目別に計算した原価要素のうち、製造間接費が発生した場所別に分類集計する手続きのことです。

最後に、第三段階として製品別計算を行います。
製品別計算は、製品ごとに原価要素を集計し、製品単位あたりの原価を計算する手続きです。
総合原価計算では、原価計算期間である1ヶ月間に発生した製造原価をその1ヶ月間の完成品数量で割ることにより、完成品1単位あたりの製造原価を計算します。

続いて個別原価計算です。
これは、電機産業のうち個別受注品を生産する場合に用いられる原価計算方法です。
個別受注品は、顧客から注文を受けると、その注文内容を記載した製造指図書を発行しこれに基づいて製品を生産します。
この計算方法の手順は、第一段階の費目別計算、第二段階の部門別計算は総合原価計算と同じです。
第三段階の製品別計算で、製品指図書ごとに製品の原価を集計していきます。

業種独特の会計を理解しよう

自動車産業と電機産業では、その業種の性質から少し難解な会計項目を取り扱うことがあります。
代表的な事例を3つ挙げましょう。

一つ目は、為替予約の処理です。自動車産業や電機産業では、海外に製品を輸出することもあります。
決済が外貨でされることが多く、邦貨換金時に為替相場の影響によって損失が発生する可能性が考えられます。

例えば、外貨取得時に1ドル140円だったものが、翌日邦貨に換金するときに1ドル100円になっていた場合、為替損益が40円出ます。
これは経営活動の如何によらない不確定要素となりますので、これを回避するために為替予約を結んでおくことがあります。為替予約とは外貨建金銭債権債務について、決済を行う銀行との間で予め支払う為替相場を定めておく契約をいいます。

二つ目は、リベートの処理です。
リベートは売上割戻ともいわれ一定期間に大量の商品を仕入れてくれた取引先に対し、代金の一部を返還するものです。電機産業のうち、家電製品を扱う会社では量販店などにリベートを支払うことがあります。
損益計算書上では総売上高から控除して、純額で表示するのが主流です。

三つ目は、リコールなどに備えた引当金の計上処理です。
リコール制度は、例えば安全・環境基準に適合していない自動車について自動車メーカー自らの判断により国土交通大臣に事前届出を行った上で、無料で回収し、修理を行い、事故やトラブルを未然に防ぐ制度です。

製造した自動車に欠陥が見つかった場合を想定し、製品保証費用を予め見積もっておき、引当金として計上しておきます。勘定科目としては、製品保証引当金の名称を使って貸借対照表の負債の部に計上されます。

商業簿記と工業簿記の知識を身につけよう

自動車産業と電機産業は、製造業の一種ですので商業簿記と工業簿記の知識が必要になります。
特殊な処理については、会社が採用している処理を覚えながら実務を通して少しずつ身につけていきましょう。

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