業界別経理のお仕事～商社編～

商社の主な仕事は貿易

商社というと毎年大学生の就職人気企業ランキングの上位に位置する業種ですが、実際はどのような仕事内容なのでしょう。
現在は貿易の仲介のみならず各種投資にも力を入れている業界ですが、今回は貿易に重点をおいて説明したいと思います。

商社の仕事とは

商社には幅広い商品を総合的に取り扱う総合商社と、特定の商品を専門的に取り扱う専門商社があります。
取扱範囲の相違はありますが、どちらも貿易や輸出入取引の仲介・調整により手数料を受領する業種です。
広い意味では卸売業に分類されることもあります。

また、仲介や調整以外にも海外での石油プラントなどの開発において関連する多数の会社をまとめてジョイントベンチャーを組ませたり、その相手国との交渉を行ったりするなど、商社は貿易にかかわるあらゆる分野に介在しています。

最近では、商社には世界中の多種多様なビジネスの情報が集まる特性を活かして、有望な事業を見つけ、それに資金を投入するという事業投資を積極的に行うようになってきています。

商社は、仕事の領域が全世界に広がることや売上規模が大変大きくなることが特徴です。
海外に駐在する商社マンは語学力のみならず、その国の文化、慣習などにも精通する必要があります。
このようなダイナミックな仕事ができるのも、商社の魅力のひとつかもしれません。

消費税の仕組みを理解しよう

商社は卸売業に分類されるので、商業簿記の知識で十分でしょう。
現在では会計ソフトが充実しているので、期中において取引に基づいて仕訳を入力すれば、総勘定元帳から補助簿（補助元帳）、試算表まで一気にできてしまいます。
期末においても決算整理仕訳を作成し入力することで、決算書も完成します。
このため、経理の主な仕事は会計データの入力になります。

ただし、会計データの入力にあたって避けて通れないのが消費税の扱いです。
なぜなら会計ソフトは消費税込みの金額を入力すると自動的に本体価格と付加された消費税を計算してくれますが、その取引が消費税のかかる取引かそうでないかは判別できないからです。

このため経理の仕事をする場合は、取引が課税取引なのか非課税取引なのか分類できる知識が必要となります。たとえば、事務用品の購入や、国内の業者に商品を売った場合の取引には8％の消費税がかかりますが、土地を購入した場合や預金に利息がついた場合の取引には消費税はかかりません。

この知識は簿記検定試験に向けた学習に関わらず、覚えておくといいでしょう。
なお消費税の納付額は、事業年度内の売上に含まれる消費税から経費に含まれる消費税を差し引いた差額になります。

消費税の特殊な取扱を理解しよう

商社では国内の商品を仕入れて海外の業者に販売したり、海外の業者から商品を仕入れて国内の業者へ販売したりします。このときの消費税の取扱にも若干注意が必要です。

消費税は、日本国内において消費または使用される物品や国内で行われるサービスに対して課されるものであり、最終的に海外で消費・使用される物品やサービスについては免除することとしています。

なぜなら、海外に輸出される商品などは、通常輸出先の国でその国独自の税金が課せられるので、日本から輸出する商品にまで日本国内で課税してしまうと二重課税になってしまうからです。
そこで消費税はその商品などが最終的に消費・使用される国で課すこととし、輸出される商品などについては消費税の負担がかからないように国境間の調整を図るのが国際的慣行になっています。

具体的に見てみると、海外に輸出した商品の売上については消費税抜きの金額で記帳します。
一方、輸入した商品を税関から引き取るときには逆に消費税抜きの金額ですが消費税込みで記帳することになります。

商社では、このような複雑な輸出入取引が多数行われています。
通常は会計ソフトに課税、非課税の区分を設定し煩雑さを解消していますが、輸出入取引の種類によっては会計ソフトでは対応できない個別の判断が要求される場合もありますので、会社の指示に従って処理することが必要です。

商業簿記と消費税・関税の理解を

商社は、輸出入取引が多いことから消費税及び若干の関税の知識が必要とされるかもしれませんが、卸売業に類似していますので商業簿記の知識があれば十分です。
商社特有の経理については、仕事を通じて身につけていくのがいいでしょう。

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