KNOWLEDGE

Column –経理に役立つコラム-

業界別経理のお仕事~建設業編~

建設業の形態は多種多様

業界別経理のお仕事~建設業編~ここでは、インフラの整備やビルの建設、国土開発を行う業界である建設業を取り上げます。
計画から施工管理にいたるまでトータルに関わるいわゆるゼネコンも、そこから下請けとして請け負う建設会社もすべて「建設業」に該当します。
このように多種多様な形態の業種ですが、一般化してその特徴と経理について説明します。

建設業とは

建設業とは、建設業法において「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。」と規定されています。
製造を行うという点では、製造業と類似していますが、受注から引き渡しまでの期間が長いこと、また受注請負形態であることが異なります。
また、実際の建設工事では工事内容を細分化して、工事ごとに特化した下請け業者に発注することがほとんどです。

それでは、建設業の工事完成までの業務全体の流れを解説します。
まず、建設会社の営業部門が営業活動を展開し工事の案件を探し出します。
次にその案件の工事の見積もりを行い、同業他社との競争を経て受注をとりにいきます。
受注できた場合は、正確な工事原価総額を計算します。
そして、その見積額に基づいて下請け業者に発注し施行作業が行われます。

この作業の進み具合に応じて下請け業者に外注費の支払が行われます。
工事が完成したら施主による検査や建築確認、物件の引き渡しを行い請負金の授受を経て一連の取引が終了します。

建設業の経理の仕事

建設業において、基本的な経理の仕事は他業種と大きく異なることはありません。
そこで一般的な流れを解説したいと思います。

まずは会計ソフトに仕訳を入力します。仕訳は、お金の動きとその理由がわかるようにするための記録。
仕訳を入力すれば、総勘定元帳・補助簿(補助元帳)・残高の一覧表である試算表も同時に作成されます。
試算表を見ることによって、月次ごとの経営状況を確認することができます。
決算期末がきたら決算整理仕訳の作成です。

決算整理仕訳は、企業が正しい貸借対照表、損益計算書を作るための仕訳となります。
期末には決算書を作成しますが、決算書は貸借対照表や損益計算書などからなり、その会社の一年の利益や財産の状態を表す書類です。

建設業の特徴的な会計処理

経理の仕事は、一般的な簿記の知識で対応できますが、建設業にあっては製造を行うものの、受注から引き渡しまでの期間が長く、またその受注金額は工事開始時には原則確定しており、長期工事では前受金等授受の取引慣行もあることから、建設業会計という特別な会計処理を行います。

収益の認識は通常、役務の提供が完了したときです。
つまり、建設業では完成後物件の引き渡し時です。
しかし、建設工事は一般的には長期間にわたることが多いため、引き渡し前の工事の進行中においても、その進捗度合いに応じて売上を計上していくという工事進行基準があります。

これは、本来なら引き渡し時まで計上しない売上を、決算期末に工事進捗の程度を見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を当期損益計算書に計上する方法です。
以前の日本の会計基準では、この工事進行基準と工事完成基準はどちらを適用しても良かったのですが、平成21年からはある一定の要件を満たす工事については工事進行基準で処理しなければならなくなりました。
このため建設業で経理をしようとする場合には、この工事進行基準のしくみを事前に理解しておくのが望ましいといえます。

建設業会計では、一般的な簿記で用いられる勘定科目名とは一部異なる名称があります。
内容はそれぞれ次のようになりますが、一般簿記を理解できていれば、覚え直すだけですので心配はいりません。科目名称が変わるということだけ理解しておいてください。

● 損益計算書項目「売上高→完成工事高(工事収益)」「売上原価→(完成)工事原価」
● 貸借対照表項目「売掛金→(完成)工事未収入金」「仕掛品→未成工事支出金」「買掛金→工事未払金」「前受金→未成工事受入金(工事前受金)」

建設業会計を身につけよう

建設業は、製造業の一種ですので商業簿記と工業簿記の知識は必要かと思います。
ただし建設業会計は特殊ですので、個々の会社が採用している処理を覚えながら少しずつ身につけていきましょう。

不動産・建設系の経理派遣求人はこちら ≫

はじめてジャスネットで働く方へ

あなたの可能性を最大限に引き出します。

  • 資格はあるのに未経験…経理・会計の実務経験を積みたい
  • 経理職に就きたいけれど、資格取得の勉強もしたい
  • 育児も落ち着き、そろそろ仕事の感覚を取り戻したい

ジャスネットでは、「経理・会計」分野に係わる方々、目指す方々が描く理想のキャリアプランを実現するために、あなたのキャリアステージに適した派遣・紹介予定派遣の仕事をご紹介します。