KNOWLEDGE

Column –経理に役立つコラム-

業界別経理のお仕事~素材産業編~

素材産業は全ての産業の源です

業界別経理のお仕事~素材産業編~素材産業というとピンとこない人も多いかと思いますが、私たちの生活の中にあるモノは、紙、セメント、プラスチック、鉄など様々な素材によって形成されています。
これらの素材を他業種に供給するのが素材産業です。
いいかえれば素材産業は全ての産業の源ともいえるのです。

素材産業とは

素材産業の特徴は、取り扱うものが鉄、セメント、紙といった他業種の基礎となるものなので、流行り廃りが少なく、納品する商品の仕様や規格の変更がほとんどないという点です。
そのため、同じ製品を長い期間売ることができます。そこで素材産業では同種の製品を大量に反復継続して作ることができるので、大規模な製造施設を保有することとなり、規模のメリットを享受しながら経営を行うこととなるのが特徴です。

また、鉄、セメント、紙等は日本国内のみならず全世界が市場となります。
そのため海外の景気状態と為替の変動による影響が大きい産業です。
素材産業の売上先は、ほぼすべてが素材産業よりも規模の大きい大企業です。
そのため、価格決定力は取引先側にある場合が多く、コストの上昇などを容易に価格に転嫁できない傾向にあります。

素材産業の会計(原価計算)を理解しよう

素材産業は製造業に該当するので経理の基礎である商業簿記に加えて工業簿記(原価計算)の知識も必要となってきます。
素材産業では、同種の製品を大量に反復継続して製造するので総合原価計算が採用されています。
総合原価計算ではまず、一期間に発生した全ての原価要素(材料費、労務費、経費)を集計して当期製造費用を計算します。

そしてこれに期首仕掛品原価を加算し、この合計額(総製造費用)を完成品と期末仕掛品とに分割計算することにより、完成品総合原価を計算します。
そして、これを製品単位に均分して単位原価を計算します。

なお実務上では、素材産業の生産形態によってさらに採用される総合原価計算が細分化されますが、ここでは概略だけ説明します。
会社が単一製品のみを大量生産する場合には単純総合原価計算が採用されますが、これは総合原価計算の基礎となる計算方法です。しかし同一工程で異なる種類の製品を製造するのが一般的であり、この場合には組別総合原価計算が採用されます。

さらに同じ製造工程で同じ製品を作る場合であってもサイズや重さなどが異なる製品(等級製品)を大量生産する場合には、等級別総合原価計算が採用されます。

素材産業での固定資産の処理を理解しよう

素材産業では大規模な製造設備を有して製造を行っています。
そのため固定資産の経理処理について特徴的なものについては理解しておく必要があります。
通常、固定資産は取得原価を減価償却によって一定の方法により費用化していきます。

素材産業では製造原価の中で大きな割合を占めることになるので、その算定等には注意を要します。
またこの製造設備は常時稼働していることが多く、修理も発生します。修繕の支出額についても一律に修理だから修繕費、とはなりません。
少し難しくなりますが、会計上はその支出額が製造設備の維持管理のための支出(収益的支出といいます)にあたると判断した場合に修繕費として当期の経費にします。

一方、その支出額が製造設備の使用可能年数や価値を増加させるもの(資本的支出といいます)と判断すれば固定資産として計上し、減価償却によって各事業年度に振り分けて費用化しなければなりません。
この点は税務上もよく判断の正否が問題とされます。

また製造設備(固定資産)の価値が低下して、製造設備の帳簿価額すら回収が見込めなくなることがあります。このような場合、将来に損失を繰り延べないために、固定資産の過大な帳簿価額を減額する減損会計という会計処理も採用されています。
素材産業では、このように他業種よりも固定資産の処理は複雑になっていますので注意しておきましょう。

商業簿記と工業簿記の理解を

素材産業にかぎらず経理の基本は商業簿記です。
またこの業種は必ず製造を行いますので工業簿記(原価計算)の知識は必要でしょう。
固定資産に関して以外は経理処理で難解な事項は少ないです。
固定資産の複雑な処理については会社の実情にあわせて業務を通じて身につけていきましょう。

メーカー系(素材・医薬品など)の求人はこちら ≫

はじめてジャスネットで働く方へ

あなたの可能性を最大限に引き出します。

  • 資格はあるのに未経験…経理・会計の実務経験を積みたい
  • 経理職に就きたいけれど、資格取得の勉強もしたい
  • 育児も落ち着き、そろそろ仕事の感覚を取り戻したい

ジャスネットでは、「経理・会計」分野に係わる方々、目指す方々が描く理想のキャリアプランを実現するために、あなたのキャリアステージに適した派遣・紹介予定派遣の仕事をご紹介します。