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経理の仕事に役立つ
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食品業というと私たちに大変身近な業種ですが、消費者が口に入れるものを製造するので、他業種よりも製品の衛生や安全性が大変重視されます。
そんな食品業界は経理上、どのような特徴があるのでしょうか。
食品業といっても、製造している食品の種類は食べ物、飲料など多種多様に分かれますが、一般的に食品業は生ものである原材料を製造加工することによって商品となる食品の販売を行う業態をいいます。
そんな食品業は他の製造業と同様に生産設備である工場を建設して原材料を投入し加工を行い、販売を行います。
製品が、消費者の口に入るものですので他業種より安全性が強く求められている業界のひとつといえるでしょう。最近では異物が混入した食品が流通するなどの問題が発覚し、食に対する消費者の関心がさらに高まっています。
日本では食品衛生法などにより使える原材料や農薬に規制があり、食品の安全性や飲食に起因する危害の発生を未然に防ぐ対策が取られています。
また、食品は賞味期限や消費期限があるため長期間の保存ができません。
そのため期末における棚卸資産の算定に特徴的な処理が見られます。
近年、日本の食品業はその安全性の高さ、さらには日本食ブームもあって海外への輸出額も大きくなっています。このため為替の変動による影響も無視できなくなっておりデリバティブ等によって為替によるリスクを低くするように各食品会社は対策を行うようになっています。
派遣で経理事務を行う場合には、他業種と大きく異なることはありません。
食品業は製造業に分類されますが、原材料(肉や野菜、果物など)が生ものであり、製品の製造加工は迅速に行われるのが特徴です。複雑な原価計算の理解までは必要とされません。
経理の基本である商業簿記の知識があれば食品業の経理は十分できるはずです。
また現在では会計ソフトが充実しているので、期中において取引に基づいて仕訳を入力すれば元帳から補助簿、試算表まで一気にできてしまいます。期末においても決算修正仕訳を作成し入力することで、決算書も完成します。このため経理の主な仕事は会計データの入力が中心になるでしょう。
ただ、通常売上を認識する基準は得意先に引き渡しが完了したときに計上する引渡基準が採用されます。ただし厳密に適用すると得意先に製品が到着するまで売上が計上できませんし、多くの得意先がある場合にいちいち製品の到着(到達)を確認するのは大変煩雑で現実的ではありません。
そのため食品業では、運送会社に発送引き渡しをした時点で売上を計上する出荷基準が多く採用されています。このため、仕事をされる会社の売上計上基準には注意が必要です。
売上に関してのもうひとつの特徴として把握しておきたいのは、問屋や小売店に対するリベートが多額になることです。通常、販売促進費や販売手数料、拡販費として費用計上されますが、国際的な基準では売上の減額として処理するように求められています。
今後、国際基準の全面導入によってこのような処理が原則となるかもしれません。
食品業において棚卸資産になるものは、原材料とそれらの加工物(製品)です。
これらは生ものですので長期間は保管できず、仮に冷凍を行っても鮮度は低下してしまいます。
そのため期末における棚卸資産の評価には特段の注意が必要です。
例えば、賞味期限間近となった製品は定価では販売が難しいですし、また期限切れの場合は廃棄処分となります。このように製品の価値が低下、または販売が困難になった場合には「棚卸資産の評価に関する会計基準」にしたがって経理が行われます。
この基準は簡潔に説明すれば、通常、棚卸資産は取得原価(原材料の場合)または製造原価(製品の場合)で評価しますが、これらが市場における一定の評価額より下落していると判断される場合に、その評価額まで棚卸資産の価額を引き下げる処理をすることを求めています(差額は製品評価損などで費用処理)。
また廃棄の場合は全額、製品廃棄損として棚卸資産としては残しません。評価損等の計上については各会社の処理規定も確認してください。
食品業は、製造業に分類されますが、製造原価の算定自体は簡易なので商業簿記の知識があれば十分です。そのかわり、売上の計上基準や、棚卸資産の評価については少し複雑ですのでそれらは実務を通じて身につけていくとよいでしょう。
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