経理引継ぎのスムースな受け方～買掛金・未払金管理～

今回は、買掛金・未払金管理についてです。おおよその業務フローは、請求書の精査→支払い→残高管理といった具合なので、先回記述した売掛金管理と類似するところがありますが、売掛金とは逆に債務の位置にあたるので、支払い漏れ等が発生すれば、取引先からの信用を失いかねません。
売掛金と同様に、単なる事務処理として捉えることのないよう、慎重な姿勢で臨むようにしましょう。

取引先との関係性を把握することからスタートを切る

仕入・経費の相手科目にあたる買掛金・未払金のデータは、派遣先の取引先情報にあたります。
内容は業種や規模により、様々でしょうが、材料の仕入先から修繕工事業者、事務用品調達会社等々、多岐に渡るでしょう。引継ぎを受ける際は、取引先ごとの商品・サービス内容とおおよその発注金額、又、派遣先のどの売上項目と関連するか等をチェックすることからスタートを切りましょう。

このような情報を把握することで、派遣先の経営活動の様子が見えてくるはずです。
ひいては、請求書の精査といった実務一つを取り組むにしても、単に納品書との突合せに留まらず、"仕入量や単価は適正か？""収入と相関しているのか？"といった経営管理者としての視点で、あたることが出来るでしょう。

経理部内との連携をどのように執るのか、しっかりと引き継ぐ

次に支払いについてです。比較的規模の大きな派遣先であれば、経理部内も担当割りで、資金繰り担当者が配置されている場合もあるでしょう。又、請求書の内容や金額について、部課長の承認印をもらう必要もあるかもしれません。

引き継ぐ際は、部内との連携も意識しながら、支払いデータ等の情報の伝達方法や注意点、又、締切日等々の詳細をしっかりと引き継ぎましょう。少しの遅れやわずかなミスでも、経理部内ばかりではなく、派遣先全体や取引先に対して、支障が出る場合もあります。業務予定表などに締切日や注意点を明記して、万全な体制で臨むようにしましょう。

残高が適正なのか？貸借対照表のチェックも不可欠！

一連の業務を引き継いだら、今度は財務分析にも目を向けるようにしましょう。
貸借対照表をチェックして、あなたが担当している買掛金・未払金の残高が適正なのか否か等、確認することも大切です。指標は、様々ありますが、まずは資金繰りの面を重点的にチェックしては、いかがでしょうか？

たとえば、貸借対照表に表記されている売掛金が、買掛金と未払金を合計した額と見合っていれば、資金繰りは問題がないと考えられますが、売掛金の方が、買掛金と未払金を合計した額よりも多いと、売掛金の入金サイトよりも、買掛金と未払金の支払いサイトの方が早いことが考えられますので、資金繰りはキツクなるかもしれません。月次毎にチェックして、何かしらの変動に気づいたら、上司や資金繰り担当者の方に報告するなり、確認を執るようにしましょう。　

こうしたあなたの一歩先んじた働き方が功を奏し、近い将来は、管理者・マネージャー職等々、次のステップに繋がるのです。