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専業主婦が派遣社員として仕事復帰。
扶養の範囲内で働きたいけれど、収入と税金、社会保険の関係性はどうなっているのでしょうか。
「子どもが大きくなり、自分の時間もできたので仕事復帰したい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
でも、「フルタイムでは家事との両立に不安があるので、第一歩として扶養の範囲内で働きたい」という声もよく聞きます。
「扶養の範囲内で働く」ということは、税金がかからない、健康保険や厚生年金など自分で支払わなくてもいいなど、様々なメリットが取りあげられており専業主婦の働き方の選択肢として依然人気があります。
ただ、仕事選びをする場合、注意点もあります。派遣社員は企業の中でスキルワーカーとして位置づけられていることもありパートやバイトと比べて時給も比較的高く設定されています。
扶養の範囲内で働くために週数日の勤務を選択しても、思った以上に収入が多くなることもありますので、派遣会社に確認を取りながら慎重に仕事を選ばなければなりません。
年末に慌てないためにも、「扶養の範囲内」について、自分自身でも具体的かつ正確な知識を身につけておくことが大切です。
今回は岩崎さん(仮名)の例を見ながら、103万円、130万円の壁の考え方を学んでいきましょう。
岩崎さんは35歳の専業主婦。子育ても落ち着いてきたのでそろそろ仕事に復帰しようと、派遣登録したところ、週3日(月平均13日勤務)、午前9時から午後4時(休憩60分)、実働6時間、時給1,500円の長期の経理事務を紹介されます。月収は約117,000円、年収に換算すると約1,404,000円が見込まれます。
岩崎さんは派遣会社から、「この条件で就労した場合、年収100万円を超えると住民税、103万円を超えると所得税を支払う義務が発生し税金の扶養から外れます。
また見込み年収額が130万円を超える場合、社会保険にもご自身で加入してもらう必要があります」との説明を受けました。
岩崎さんは迷った結果、扶養範囲内での仕事を当分続けたいと申し出ます。
派遣会社は派遣先企業と交渉を重ね、業務内容を減らして1日の実働時間を変えず、週2日(月平均8日勤務)、時給1,500円で決着。月収は約72,000円、年収は約864,000円の見込みとなる扶養範囲内での仕事をスタートしました。
岩崎さんのケースをもう少し詳しく解説しましょう。
市町村にもよりますが原則、1月から12月までの年収が100万円を超えると住民税が課税されます。
また、年収103万円を超えると所得税の支払い義務も生じます。
それに加えて年収103万円を超えると夫側で配偶者控除を受けられなくなります。
これは配偶者が年収103万円以下である場合に38万円(本人の年齢が70歳未満の場合)の所得控除を受けられるものです。これが適用されなくなると旦那さんの所得税が増加します(なお年収141万円未満までは配偶者特別控除制度があり一定の額は控除できます)。
さらに年収130万円を超えると社会保険料をご自身で負担しなければなりません。
この社会保険の負担割合は税金に比べ大きいので、慎重に考慮する必要があります。
岩崎さんはこれらを鑑み、年収が100万円以下で税金(住民税及び源泉所得税)や社会保険などの支払い負担がない働き方を選択したのです。
このように、妻の収入が一定額を超えると、様々な税金の支払いや社会保険料加入の義務が生じてきます。
派遣で働く場合、源泉税や社会保険の負担を考えるときは、世帯での手取り金額が最高になる組み合わせを考慮することがポイントになります。
上記の例の場合、130万~140万円あたりの年収になると一番手取り金額が少なくなってしまいます。
派遣先の条件にもよりますが、税務及び社会保険上完全に扶養の範囲内に該当する働き方を選ぶのも良いでしょうし、可能であれば140万円を大きく超えるところまで働くことも考慮に入れてみるのも選択肢のひとつだと思います。
補足ですが社会保険に関しては、年金の被保険者である期間があれば将来もらえる老齢年金額に若干なりとも影響しますし、健康保険被保険者しか対象とならない手当金などもありますので、損得を簡単に計算できるわけではないことも頭に入れておくと良いでしょう。
年収100万円、103万円及び130万円に住民税・所得税・社会保険料などの負担義務があることを理解した上で、扶養の範囲内で働くかどうかの選択をしていきましょう。
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